鯛飯と聞くと、鯛の切り身をご飯の上にのせた料理を思い浮かべる方が多いかもしれません。
見た目が整っていて身を分けやすい切り身は、料理に慣れていない方にも親しみやすい部分です。
けれど、鯛には切り身だけでなく、かぶとやかまにも、それぞれ違った魅力があります。
この記事では、長年板前として魚を扱ってきた経験から、かぶと・かまを使った鯛飯の魅力を、料理初心者にもわかりやすくお伝えします。
鯛の「かぶと」と「かま」はどの部分?
魚に詳しくないと、「かぶと」や「かま」と聞いても、どの部分なのかわかりにくいものです。
まずは、それぞれの場所を簡単に整理しておきましょう。

鯛のかぶとは頭の部分
鯛のかぶとは、名前のとおり頭の部分です。
頭には大きな骨がありますが、そのまわりには小さな身がいくつも残っています。
特に、口まわりや目の下などは、普段よく目にする切り身とは身の付き方が違います。
一か所にまとまった身を食べるというより、場所ごとの違いを見つけながら味わう部位といえるでしょう。
鯛のかまはえらやひれに近い部分
鯛のかまは、頭の後ろ側にあり、えらや胸びれに近い部分です。
切り身のような平らな形ではなく、骨のまわりに身が付いています。
私自身は、かまには身が比較的多く残り、脂の感じも楽しめるため、全体のバランスがよい部位だと感じています。
鯛は身だけでなく、かぶとやかまも味わい深い
鯛の切り身は食べやすく、見た目もわかりやすい部分です。
そのため、「かぶとやかまより、身のほうがいい」と感じる方がいるのも自然なことだと思います。
食べやすい部分を気軽に楽しむのも、立派な味わい方です。
そのうえで、鯛の別の表情を知りたいときには、かぶとやかまにも目を向けてみると、魚の見え方が少し変わります。
かぶとは場所ごとの違いを楽しめる
私が鯛のかぶとで特に魅力を感じるのは、口まわりや目の下にある身です。
同じ頭の中でも、身の厚さや形が少しずつ違います。
初めて見ると、「食べるところが少なそうだ」と感じるかもしれません。
けれど、よく見ていくと、小さな身がいくつも見つかります。
一度にたくさん食べるというより、少しずつ違いを楽しめるところが、かぶとの面白さです。
かまは身と脂のバランスを楽しめる
かまは、かぶとよりも身がまとまって付いているように感じられる部位です。
私自身は、身だけでなく脂の感じもあり、鯛らしい存在感を楽しめるところに魅力を感じています。
切り身とは形が違うため、同じ魚でも別の料理を味わっているような印象があります。
鯛には一つの味しかないのではなく、部位によって違った楽しみがあるのです。

かぶと・かまを鯛飯に使う理由
鯛飯は、鯛とご飯を合わせて仕立てる料理です。
切り身を使えば、見た目が整いやすく、身も分けやすくなります。
一方で、かぶとやかまを使うと、鯛そのものの形や存在感が強く表れます。
料理を目の前に置いたときに、「今日は鯛を味わうのだ」という気持ちになりやすいところも、この鯛飯の魅力です。
骨のまわりにある身を料理に生かせる
板前の仕事では、目立つ身の部分だけを見るのではなく、一尾の魚全体を見ます。
かぶとやかまにも身があり、それぞれに違ったよさがあります。
食べやすさだけを基準にすると、少し扱いにくく見える部位かもしれません。
それでも料理として向き合うと、切り身だけでは表せない鯛の個性が見えてきます。
かぶとやかまを鯛飯に使うのは、鯛が持つさまざまな表情を、一つの料理の中で味わってもらいたいからです。
切り身だけの鯛飯とは違う存在感がある
切り身を使った鯛飯には、身を分けやすく、すっきりと味わえるよさがあります。
かぶとやかまを使った鯛飯は、見た目にも力があり、料理全体に鯛の印象が残ります。
どちらが上ということではありません。
同じ鯛飯でも、使う部位によって楽しみ方が変わるということです。
「贅沢な鯛飯」という名前に込めた思い
贅沢な料理というと、高価な食材をたくさん使った料理や、豪華に盛り付けられた料理を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも贅沢の一つです。
ただ、私がこの鯛飯に感じている贅沢は、値段や量だけではありません。
少し手間のかかる部位に目を向け、そこにある身を見つけながら、一尾の鯛を味わうこと。
その時間そのものにも、贅沢さがあると思っています。
骨があるからこそ生まれる味わい
かぶとやかまには骨が多く、切り身のように簡単には身がまとまりません。
一見すると、面倒に感じることもあるでしょう。
しかし、その骨のまわりにある小さな身を見つけると、「こんなところにも身があるのか」と新しい発見があります。
少し手間がかかるからこそ、味わったときの印象が残る料理もあります。
かぶとやかまの鯛飯は、その違いを楽しめる一品です。
私が考える「贅沢」とは
私にとっての贅沢は、豪華なものをそろえることだけではありません。
普段なら見過ごしてしまうものに目を向け、そのよさを見つけることも、贅沢な時間だと感じています。
魚の身だけでなく、かぶとやかまにも目を向ける。
大きな身だけでなく、小さな身にも違いを感じる。
そうして一つの料理を味わうと、同じ鯛でも見え方が変わってきます。

板前が感じる魚のあらの面白さ
魚のあらには、切り身とは違う面白さがあります。
形がそろっていないため、最初はどこを見ればよいのかわかりにくいかもしれません。
けれど、魚の形が残っているからこそ、「ここが頭で、こちらがかまなのか」と部位を知るきっかけになります。
切り身には食べやすさがあり、あらには自分で身を見つける楽しさがあります。
どちらにも、それぞれのよさがあります。
部位の名前を一つ知るだけでも、魚売り場や料理店で鯛を見たときの見方が少し変わります。
まずは「かぶとは頭」「かまは頭の後ろ側」とわかれば十分です。
鯛のかぶと・かまについてよくある疑問
かぶとやかまは食べにくくない?
切り身と比べると骨が多いため、食べにくいと感じる方はいます。
その感じ方は、決して間違いではありません。
かぶとやかまは、手軽さよりも、部位ごとの身を見つけながら味わうところに面白さがあります。
気軽に食べたい日は切り身を選び、少し違った鯛の魅力を知りたいときに、かぶとやかまを選ぶ。
そのくらいの考え方でよいと思います。
身だけを使った鯛飯とは何が違う?
身だけを使った鯛飯は、身を分けやすく、全体が整った印象になります。
かぶとやかまを使った鯛飯は、鯛の形が感じられ、部位ごとの違いを楽しめます。
味の優劣ではなく、料理の見え方や味わい方が違うのです。
この記事は鯛飯の作り方を紹介している?
この記事では、材料や調理手順を詳しく説明するのではなく、鯛のかぶとやかまを使う理由と、その魅力を紹介しています。
鯛飯を作る前に部位のことを知りたい方や、料理店で見かけた鯛飯をもっと楽しみたい方に向けた内容です。
まとめ|かぶとやかままで味わう鯛飯の魅力
鯛のかぶとは頭の部分、かまはえらや胸びれに近い部分です。
切り身より骨が多く、少し食べにくく感じることもありますが、口まわりや目の下、骨のまわりなどに、それぞれ違った身があります。
かぶとやかまを使った鯛飯は、切り身だけを使った鯛飯とは違い、鯛そのものの形や存在感を楽しめる料理です。
豪華なものだけが贅沢なのではありません。
普段は見過ごしやすい部位に目を向け、その違いを味わうことも、一つの贅沢だと私は思います。
鯛料理を見かけたときには、身だけでなく、かぶとやかまにも少し目を向けてみてください。
これまでとは違った鯛の魅力が見つかるかもしれません。

